新型コロナウィルスによる日米ビジネスへの影響を考える

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「日米ビジネス展望」では、日本及び米国におけるビジネスを展開する上でのトピックを毎回1つずつ選び、それに関する4社それぞれの視点・分析をお送りします。今回のトピックは、1)経営、2)デジタル・マーケティング、3)販売とマーケティング、4)人事の観点から見るコロナウィルスの影響についてです。各記事に対するコメントやご意見もお待ちしています。[Read the English version of this blog here.]

#1 経営

パンデミック=急激な変化

米国における日系企業の売上高は約7000億ドルで、その40%近くはCOVID-19の影響が大きい製造業です。市場変化が緩やかで安定しているときには 、 日本の経営手法はうまく機能し、また優れていることさえあります。しかし、今回のパンデミックのような予期せぬ事態が発生した場合、特に競争の激しいグローバル市場においては、柔軟性がなく厳格なコンセンサスを必要とする日本の経営手法で対応することは非常に困難です。

急速な変化へ対応する効果的なリーダーシップとは

コロナ発生前の中期経営計画(日本の本社では変更されない可能性があります)で立案した収益やコストに合わせるように会社をリードするのではなく、米国の日系子会社の経営者は次のことを行う必要があります。

• 財務シナリオの評価を迅速に進め、コミットした計画と比較

• 市場変化に適応するための戦略を立案

• 変化から利益を得るための継続的なイノベーション

• 今回の影響を根拠と合わせて日本側に明確に伝える

• 社員に優先事項を明確に伝え、トップタレントの維持に努める

• 現実的なセールス・シナリオに合わせてコストを調整


緩やかに変化する市場では、時間をかけた着実な改善と長期的な財務計画に役立ちます。しかし急激な変化が起こった場合には、リーダーは新しい変化を迅速に評価し、コミュニケーションし、柔軟に適応していく必要があります。

JMNCソリューションズは、 COVID-19の危機に対して、日本企業のリーダーが時代の変化と競争市場に適した方法で対応できるよう支援をしております。詳しくはホームページをご覧ください。  

#2 デジタル・マーケティング

新型コロナウィルスの世界各地への蔓延に伴い、オフィス勤務の方だけでなく、普段は工場で働いている方や営業などの外勤をされている方も、在宅勤務をされている方が多くなっています。その結果、PCに向き合っている人も時間も増えており、Eメールでダイレクトメール(DM)を配信するにはいい機会と言えるかもしれません。

EメールでDMを配信した場合の開封率は通常10%前後といわれておりますが、弊社が最近実施したDMでは20%を超えています。またメール内記載のURLへのクリック率 (CTR) も上昇しています。そこでA-Lexが行っている、Eメールにて効率的にDMを配信する方法をお伝えしたいと思います。

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DMの内容は、ターゲットと目的によって工夫が必要です。B2BなのかB2Cなのか、新製品の紹介なのか、それともキャンペーンやセールの告知なのかなどによってトーンも変わります。ここではDM配信における基本的なポイントを紹介します。

■ 件名は短く、読者にとってのメリットを示す

件名は開封率を左右する重要ポイントです。あまり奇をてらわず、ストレートにメリットを表現することが大切です。ポイントを端的に表現した短い件名の方が開封率が高く、かつ迷惑メールと認識される確率が低くなります。

■ 80/20ルール

DMの読者が知りたいのはまずは「自分にとってどんなメリットがあるのか」です。コンテンツの8割は読者にメリットのある内容とし、自社の宣伝やその他の情報は20%程度に抑えることをお勧めします。

■ フォントサイズは15ポイント以上

50%以上のEメールが携帯電話で見られているという調査結果が出ています。マーケティング目的のEメールは通常12-13ptで作成されていますが、モバイルフレンドリーを考慮し15pt以上にすることをお勧めします。

■ 配信時間にも配慮

お勧めするメールの配信時間はB2BかB2Cによって異なります。大事なのは“読んでもらいやすい時間帯”に送るということです。B2Bであれば、平日の就業時間内に送りましょう。午前中の早い時間や就業時間後の時間帯は、他のメールに埋もれてしまい無視される可能性が高くなるので、避けたほうが無難です。逆にB2Cであれば、就業時間後や週末の方が読んでもらえる確率が高くなります。

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A-Lex International Marketingは2007年の設立以来、日米2拠点のスタッフによるマーケティング・コンサルティングを含むローカルサポート機能と、日米政府機関とのパートナーシップにより、匠の技術を持つ日本企業の現地法人立ち上げ、新製品の営業・販促支援において、アメリカ市場にて多くの実績を築いています。アメリカで新規事業を行いたい、新製品の販売を行いたい。このような時はお気軽にA-Lexまでご相談ください。弊社サービスに関する詳しい内容は、https://www.a-lexint.comをご覧ください。

#3 販売とマーケティング

奇妙な新しい現実:COVID-19パンデミックが従来の販売およびマーケティング活動に及ぼす影響

対面会議の消失

 わずか数週の間に、国際的な販売活動およびマーケティング活動の多くの側面が一変してしまった。その変化の中には暫定的な対策に過ぎないものもあれば、今後我々にとってのニューノーマル(新常態)として定着し得るものもある。 また、欧米諸国の販売活動およびマーケティング分野においてすでに過去数年にわたり浸透しているものもある。例えば、海外出張の替わりにビデオ会議を活用することなどはその一例である。これに対し、こういったやり方は日本の企業においてはまだまだあまり浸透していなかった。そのためこのビデオ会議への変化が現在、日々のビジネス活動に大きな混乱を引き起こしている。さらに、これらの変化は日本社会に対し、文化的な変化への影響も及ぼしている。

 COVID-19パンデミックの犠牲となっている代表的なものの一つが対面会議である。現在各国において、多国くの(日本を含む)の外国人国境が正式に閉鎖されており、海外渡航を計画している人々に対しての渡航禁止勧告が発信されている。米国は現時点では日本人渡航者に対して公式に国境を閉鎖してはいないものの、米国でのウイルスの蔓延を危惧した多くの日本企業が社員の出張を当面の間見合わせている。

 欧米の営業担当者への対面会議の消失が及ぼす影響を軽視する訳ではないが、それよりも日本企業に及ぼす影響はより深刻だと考えられる。 「現地」、「現物」、「現場」という言葉を耳にされたことがあると思う。これらの用語は通常、「自分の目で見る/自ら体験する」と意訳される。日本のビジネスマン達はキャリアの早い段階からこれを実践する。ビジネスパートナーや顧客との個人的な繋がりを構築したり、そのパートナーや顧客の事業所を訪問する等、対面会議はビジネス関係における重要な「接着剤」として考えられている。日本の営業担当者がほんの一日の会議のためだけに米国に出張し、翌日に日本に戻るという行動は決して珍しいことではない。日本のビジネス文化においては、実際に対面するということが「正当なビジネスのやり方」と考えられている。

在宅勤務

 もう一つのニューノーマルは在宅勤務である。ビデオ会議と同様に、在宅勤務も多くの欧米ビジネスマンの間ではすでに浸透している。西洋社会は日本に比べて個人主義的な部分が強く、会社に対する忠誠心よりも個人に対する忠誠心が尊重される傾向にある。ロジスティック的に見ても、欧米の企業では従業員が遠隔地から業務を行うためのコンピューターシステムが整っている。文化的に、欧米の従業員の多くは機会さえ与えられれば喜んで在宅勤務を行う傾向にある。それは、在宅勤務をすることで従業員は家族との絆を深め、自由を感じることができるからである。

 しかし、日本では従業員の在宅勤務をサポートする体制を整えている企業の数はまだおおくない。会社のコンピューターシステムが遠隔業務用に構築されていなかったり、会社によっては、従業員が使用するパソコンがデスクトップのみであったりという環境もその要因の一つと考えられる。さらに文化的な観点から見ると、日本における「職場」は単なる仕事場とは違った意味を持っていると言える。多くの日本人にとって会社は個人のアイデンティティーの一つであり、日本の職場で育まれたチーム精神と一体感は、日本人従業員会社への強い帰属意識につながっている。そのため、自宅で仕事するとこれらの感覚や意識が薄れ、不安やストレスが高まり、生産性の低下に繋がる。

ビデオ会議の活用

 当分の間、ビジネスパートナーや顧客との対面会議は行わず、おそらくそれぞれが自宅と職場両方から仕事をすることがニューノーマルとなるであろう。そのため、販売およびマーケティングに関する会議・打合せを実施するためにはビデオ会議がメインのツールとして利用されることになる。幸いなことに近年、数々の新しいビデオ会議プラットフォームが開発およびアップデートされてきている。一般的なアプリとしては、ZOOM、Microsoft Teams、Skype for Business、Cisco Webex、Google Hangouts、V-Cube等が挙げられる。

 過去数年の間すでにビデオ会議を活用し、これらのアプリに慣れ親しんできた欧米企業においては、こういったツールを使いこなせるようになるまでの学習曲線は比較的緩やかな曲線になる。しかし日本企業の場合は、この曲線がかなり急になる。多くの企業において新しいテクノロジーを導入したり、場合によっては全く新しいシステムを導入することが必要となり、さらにこれらのテクノロジーを効率的に利用できるようにするための従業員教育の必要も発生してくる。また、情報交換目的の会議・打合せも重視されてきた日本においては今後、余分な会議・打合せを省き、付加価値をもたらす会議・打合せのみに集中することが課題となるであろう。

 日本企業にとってのもう一つの課題は、ビデオ画面上で効果的に映るプレゼンテーション資料を作成するスキルである。自宅で勤務をする場合、従業員は何かと気が散りやすくなりがちである。そのため、ビデオ会議中に使用するプレゼンテーションは簡潔で人目を惹き、記憶に残り易いものであることが重要である。

 我々が今直面している状況は今後ずっと継続する訳ではない。ある程度の通常業務に戻れる日は必ずやってくる。ビジネスパートナーや顧客、潜在顧客と対面会議ができるようになる日はまた必ず戻って来る。職場の形態が変化する可能性はあるが、職場に戻れる日もまた必ずやってくる。それまでの間、この「奇妙な新しい現実」を乗り切るために、我々は皆、忍耐力と理解力を持って対応する必要がある。

本投稿に関するご質問やご意見をお待ちしております。

#4 バイリンガル人材

日米の企業は依然としてバイリンガルの才能を必要としています。

COVID-19パンデミックは、採用と駐在員の割り当てを保留にしており、ファーローとレイオフを検討する会社が多くあります。これらの変化の中で、異文化コミュニケーションの出来るサポートの必要性が続いています。仮想プラットフォーム(ビデオ会議やメールなど)や、海外出張のような対面式の会議には、コミュニケーションの促進と改善を支援してくれる人が必要です。

仮想コミュニケーションが必要なお仕事をサポートするためには次の点をご検討ください:

・ 今の従業員を考慮する。日本語または日本のビジネスマナーを理解している従業員がいることすら知らない可能性がありますので、全社的なメールを送信して調べることを検討してください。彼らは既に御社の文化と製品/サービスを理解しており、たとえ「流暢」でなくても、ギャップを埋める優れた方法となるでしょう。

・ 通訳/翻訳者を雇う。もし予算が低いとしましたら、経験を積んでいく意欲のある最初のフリーランサーを検討してください。

・ エントリーレベルのポジションやインターンシップの採用を検討する。 この2,000人以上のニッチなネットワークには、グローバル会社からの採用チャンスと少々のOJTトレーニングしかが必要ですが、チャンスが与えましたら優秀な従業員になれます。(両方をお手伝いします。)

日本語や日本のビジネス文化を知っている求職者について:

日米の企業で働きたい求職者は、採用と旅行が保留になっているため、苦労しています。夏のインターンシップや海外での新しい仕事を計画していた学生や卒業生は、開催パターンにあります。また、秋に日本で英語を教えるために受け入れられたJETプログラムの申請者は、彼らの次の数年が計画通りに起こるかどうかも心配することです。経験豊富な専門家も同様に就職活動からストレスを感じています。

求職者へのアドバイス:

・ スキルを磨く。学習できる新しいスキルを確認し、それらの認定をLinkedInプロファイルに追加してください。

・ オンラインコースに参加する。多くの企業や組織が無料または割引プログラムを提供していますので、目的のトピックに基づいてネットで検索してください。

※ 和訳は記者本人の言語力を表しますので、ご了承ください。

ご意見・ご感想をお聞かせ下さい。

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